最終更新日: 2021年09月30日
2021年IT導入補助金が3月25日から受付が開始されました。
IT導入補助金は当初、補助額が50%でしたが、コロナ禍の影響で2021年は3分の2まで補助金を申請できるシステムに変更されました。
この記事では、IT導入補助金に関して
- ・制度内容
- ・申請方法や流れ
- ・交付までの流れ
- ・補助金を請求するまでの流れ
- ・採択のポイント
などを解説していきます。これから申請を検討されている方の手助けになればと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
IT導入補助金とは
まずIT導入補助金とはどういった補助金なのか説明させていただきます。
IT導入補助金とは中小企業や小規模事業者が自社の必須ソフトや、自社の課題解決のために必要なITツールを導入する際に国が金額の一部を補助することで、業務の効率化や売り上げ確保、企業の課題解決をサポートする補助金です。
IT導入補助金には2種類あります。
- ・通常枠である「A・B型」
- ・低感染リスク型ビジネス枠である「C・D型」
今回は低感染リスク型ビジネス枠を開設させていただきます。
低感染リスク型ビジネス枠の概要
低感染リスク型ビジネス枠とはコロナ禍の影響で始まりました。
コロナ禍への各企業の対応として ITツールの導入を積極的に支援しようとする経済産業省の施策になります。
低感染リスク型ビジネス枠の対象ソフトとは「非対面化ツール」が概要します。
非対面化ツールとは・・・事業者以外の遠隔地から業務を行うテレワーク環境の整備をはじめ、対人接触の機会を低減するような非対面または遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルへの転換に資する、労働生産性の向上を目的としたITツールを指します。
対象事業者に関して申請の対象事業者は中小企業・小規模事業者になります。
詳しくは下記の通りになります。
【該当中小企業】
製造業・建設業・運輸業→資本金3億円以下、従業員数が300人以下の会社または個人事業主
卸売業→資本金1億円以下、従業員数が100人以下の会社または個人事業主
サービス業→資本金5千万円以下、従業員数が100人以下の会社または個人事業主
小売業→資本金5千万円以下、従業員数が50人以下の会社または個人事業主
ゴム製品製造業→資本金3億円以下、従業員数が900人以下の会社または個人事業主
ソフトウェア業または情報処置サービス業→資本金3億円以下、従業員数が300人以下の会社または個人事業主
旅館業→資本金5千万円以下、従業員数が200人以下の会社または個人事業主
1~7以外の業種→資本金3億円以下、従業員が300人以下の会社または個人事業主
医療法人、社会福祉法人→社会福祉法人→従業員数300人以下
学校法人→従業員数300人以下
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所→従業員数100人以下
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体→上記1~8に該当する業種
特別な法律により設立された組合または連合会→上記1~8に該当する業種
財団法人、社団法人→上記1~8に該当する業種
特定非営利活動法人→上記1~8に該当する業種
【該当小規模事業者】
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)→従業員数が5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業→従業員が20人以下
製造業その他→従業員が20人以下
上記に該当する企業が補助金を申請することができます。
対象経費に関して
IT導入補助金を利用する際に実質、国からいくら補助額が降りてくるか説明させていただきます。
2021年IT導入補助金には2種類あります。
- ・通常枠(A・B型)
- ・低感染リスク型ビジネス枠(C・D型)
上記の2種類があります。
・通常枠・・・補助額が2分の1であり基本的にクラウド商品でなくとも申請が可能になります。通常枠の中には2つの種類がありA型とB型があります。
A型・・・補助金額としては30万円~150万円です。商品に関しては単体ソフトで申請が可能になります。給料の賃上げ目標は加点項目のため目標を掲げると申請に加点され申請が受理されやすくなります。
B型・・・補助額としては150万円~450万円です。プロセスとして4つの条件を満たすソフトであれば申請が可能になります。給料の賃上げが必須要件になっていますので申請が受理された場合は給料の賃上げを必ず行ってください。
達成できなかった場合は補助金の返還が求められる場合があります。
低感染リスク型ビジネス枠・・・補助額が3分の2であり要件としては複数のプロセス間で情報連携が可能であり、非対面化を可能にするITツールであることが条件になります。低感染リスク型ビジネス枠には3種類あります。
C−1型・・・補助額としては30万円~300万円です。プロセスは2つ以上満たすこと、非対面化ツールであることが要件になります。給料の賃上げは加点項目のため必須ではありませんが申請が受理されやすくなります。
C−2型・・・補助額は300万円~450万円です。基本的にはC―1型と同じです。補助金額が大きくなる分、給料の賃上げが必須項目になっており、補助金を交付された際に給料の賃上げが未達成であった場合は補助金の返還を求められる場合があります。
D型・・・補助額が30万円~150万円です。2つ以上のプロセスを満たすITツールであれば申請が可能になります。テレワーク環境、クラウド環境に対応でき、複数プロセスの非対面化を可能とすることが要件になります。給料の賃上げに関しては加点項目のため申請が受理されやすくなります。
申請の方法と流れ
【事前準備】
IT導入補助金を申請するためには事前にやっておかなければならないことがあります。
・gBizIDの取得
・Security Actionの取得
上記の2つの取得を事前に行っておくことが大事です。
gBizIDとは法人・個人事業主向けの共通認証システムです。補助金関係や社会保険の手続きに必要になるIDになります。gBizIDの取得は簡単ですが申請してから登録まで1~3週間程度の時間を有します。IT導入補助金の申請スケジュールを確認し余裕を持って登録しましょう。Security Actionに関しては申請当日でも登録することが可能です。事前にやっておいてもいいでしょう。
【申請の流れ】
gBizIDとSecurity Actionの準備ができたら購入したいITツールを選定してください。
メーカーや販売業社と打ち合わせを行い、IT導入補助金のどの類型に識別されるのかを確定させ見積もりを出してもらいましょう。ITツールを購入する際の細かい金額まで算出することが可能になります。
ITツールを確定させ申請する類型を決めた次は申請準備に入っていきます。
Step1.申請マイページに招待してもらいましょう。
IT導入補助金の申請マイページの招待を行います。これはIT導入補助金事業者へ依頼してください。
申請マイページの開設には下記の情報が必要になります。
・宛名
・組織形態
・担当者メールアドレス
・IT導入事業者担当者情報(メールアドレス・電話番号・名前)
上記の情報をIT導入補助金の申請マイページ開設画面で入力します。入力が完了すると申請会社へIT導入補助金事務局からメールが届きます。メールには申請マイページへ移動できるURLが添付されています。そのURLをクリックし、gBizIDを登録した際のメールアドレスとPasswordを入力するとIT導入補助金の申請画面へ移動できます。
開くブラウザとしてはGoogleをお勧めします。Internet Explorerではエラーが起きるため推奨できません。
Step2.IT導入補助金申請画面を開いたら申請を開始していきます。
申請に必要な情報を下記にまとめました
・3期分の決算情報 ※1
・年間平均労働時間
・売り上げ目標に関する事業計画 ※2
・事業所の最低賃金
・給与の総支給額に関する計画値 ※3
・Security Actionの ID情報
上記の情報が必要になります。
最初の記述項目は会社の基本的な情報を入力する項目です。
しかし、1つだけ「事業内容」を255文字以内で記載する箇所があります。
記載内容としては自身の会社の事業内容とIT導入補助金を利用し、ITツールを導入することにより会社にどのような効果があるか具体的に記載してください。Security Actionの情報入力まで完了しましたら、次からの項目は財務情報の入力になります。
ここで※3の情報を入力していきます。数字は正確に入力しましょう。
財務状況の入力の次は経営状況に関しての質問事項になります。なるべくプラスのことを記載するようにしましょう。
過去にIT導入補助金を利用したことを問うチェック項目があります。IT導入補助金を過去に申請したことのある業者は申請確率が大きく減少します。
項目は多いですがほとんどがチェック項目になっています。しかし、その中に「その他」という項目があり、フリー記載のできる項目があります。
フリー記載のある項目はなるべく文字数を多めに具体的に記載してください。
IT導入補助金を申請し合格している業者はフリー記載をしっかり記入している方がほとんどになります。
入力が完了したら、書類の画像データをサイト上に添付します。
書類とは
・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
・法人税の納税証明書(直近分、その1もしくはその2)
上記の書類を事前に準備していただきたいです。
最後に修正点や、誤字脱字がないかチェックしていただき完了したら申請の50%まで完了です。
Step3.IT導入支援事業者の入力
IT導入支援事業者が申請内容の確認を再度行います。
確認が完了したら※2で記載してある「売り上げに関する事業計画」を入力します。
「売り上げに関する事業計画」とはIT導入補助金を利用しITツールを導入することで経営がどのように向上するかを計画するものです。
申請者が事前に事業計画を作成しIT導入補助金支援事業者へ提出します。
例)
・2022年の売り上げ向上率3%以上
・2023年の売り上げ向上率3%以上
・2024年の売り上げ向上率9%以上
・2024年の売り上げ向上率9%以上
上記の各%数字に売り上げ金額をかけることで具体的な数字を算出しIT導入補助金支援事業者へ提出します。
事業計画で意識することは、目標が低いと補助金採択率も減少します。逆に、目標が高すぎても採択率が向上することはないと思います。
現実的であり、実現性のある目標を作成しましょう。
Step4.IT導入補助金支援事業者の入力が完了したら再度申請者の入力
要件確認のチェック項目があるので全てにチェックを入れます。
次は事業所の最低賃金を算出し入力します。1時間あたりの金額を算出してください。
給与の向上率に関しては年間の給与総支給額の1.5%以上の向上を宣言します。
低感染リスク型ビジネス枠では必須の項目です。
C−1型では加点項目で達成しない場合でも補助金の返還義務はないのですが、C−2型では給与の向上が未達成の場合、補助金を返還する可能性があるので注意しましょう。
従業員への給与向上宣言の有無を選ぶ項目があります。表明を行なったとした場合の補助金採択率が高いので給与向上表明はしたほうがおすすめです。
上記の入力が完了したら最終確認をして、申請者宣言にチェックを入れます。
その後、登録した電話番号にコード番号が発行されるので画面に入力し100%になったら申請が完了です。
【採択発表後】
IT導入補助金の採択が確定した場合、補助金を請求する流れを説明いたします。
IT導入補助金採択が確定したら、申請画面から「交付決定通知書」をダウンロードして保管してください。
その後、ITツールを導入して、支払いまで完了させてください。
IT導入補助金のITツールは一旦全額振り込みを行います。その後補助金が交付されます。
支払いに関しては
・銀行振り込み
・クレジットカード1回払い
上記の2つのみで支払いを行ってください。
その他の支払いをした場合は、対象にならないので注意してください。
Step1.ITツールの支払いが完了したら経済産業省に報告をします。
必要書類
- ・請求書
- ・支払証憑
- ・補助金受け取り口座情報
上記の3つがポイントです。
~請求書~
請求書に記載が必要な項目を説明します。
- ・請求日
- ・請求元情報
- ・請求先名
- ・請求金額(合計)
- ・ITツール名(製品名)
- ・ITツールの数量
- ・ITツール金額
上記の情報を記載してある請求書をIT導入補助金支援事業者へ依頼してください。
~支払証憑~
支払証憑に記載が必要な項目を説明します。
- ・金融機関名
- ・振込日
- ・振込元情報
- ・振込先情報
- ・振込金額
- ・振込が完了したことが確認できる文言
- ・口座から口座へ振り込みを行っていることがわかる文言
上記の記載してある支払証憑を準備してください。
~補助金受け取り口座情報~
補助金受け取り口座の情報を入力する際に必要な事項を記載します。
- ・金融機関名
- ・金融機関コード
- ・支店名
- ・口座種別
- ・口座番号
- ・口座名義
の記載が必要になります。
通帳がある場合は通帳表裏のコピーを一緒に添付してください。
Step2
入力が完了したらIT導入補助金支援事業者が確認をします。
IT導入補助金支援事業者はITツール名が正しいか、金額は一致しているか、など最終確認を完了します。
Step3
最後の入力になります。
最終確認をご自身で行い、携帯へ認証コードを発行し、申請マイページに入力します。
以上で、IT導入補助金の補助金請求の流れは完了です。最後の認証コードを忘れずに必ず実行してください。実行が完了されないと補助金が交付されませんので注意しましょう。
IT導入補助金申請に関するポイント
IT導入補助金を申請する際のポイントとなる部分を紹介致します。
まずは申請入力項目の矛盾をなくしてください。申請入力項目の「その他」のフリー記載項目や、チェック項目で矛盾する部分が出てきたらIT導入補助金が不採択になる可能性が高くなります。
さらに「その他」フリー記載項目に記述する際になるべく詳しく記載してください。具体的な内容を記載した業者様の採択率は高い傾向にあります。
IT導入補助金の疑問点
・IT導入補助金申請をスタートする際にはITツールを必ず確定させてください。
ITツールの開発・作成をする場合は余裕を持って行ってください。しかし、ITツールが必ずIT導入補助金申請対象ツールに該当するかは確実ではありません。
事前に登録してあるITツールを選定するか、補助金を利用したいツールがあればメーカーに問い合わせを行いIT導入補助金のツール登録の依頼を出してください。
IT導入補助金が落札した場合に関して説明します。IT導入補助金の申請に関しては何度もチャレンジすることができます。2021年IT導入補助金は現在4次申請までチャンスがあるので再度申請することも可能です。
しかし、入力内容に関しては同じ内容ではなく、少し修正を加えて申請することがポイントになります。数字で目標値を入力する部分も少し修正を加えましょう。
まとめ
IT導入補助金の申請は合格すれば高額な補助額がもらえる分、申請が年々厳しくなっていっています。
補助金を申請するにあたり、明確な目的と悩みをしっかり記載し明確性のある申請内容を作成すれば合格する可能性は高くなります。
去年から申請し続けてようやく2021年2次申請で合格したお客様もおり、今回の申請を1回目で合格したお客様も存在します。
明確な判断基準はおそらくないのかもしれませんが、しっかり記入し続けてIT導入補助金を利用できるようにしてください・
これまでの情報が少しでも役立てればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。