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カフェでパソコンを開く人の注意点 その2。Wi-Fiより先に塞ぎたい「画面・離席・声」の5つの場面と、公表された紛失事例4件

カフェでパソコンを開く人へ。画面・離席・声の注意点その2、事例つきで5つの場面

こんにちは、HOMELY制作チームです。前回の記事では、カフェの無料Wi-Fiを実際に調べて、「暗号化なし・ファイアウォールなし」だった話を書きました。

ただ、あの記事で扱ったのは電波の穴だけです。カフェでパソコンを開くと、もう一つ穴が開きます。画面を見られる、声を聞かれる、パソコンを置いて席を立つ。人の目と耳の穴です。

最近の情報漏えいのニュースは、9月25日に公表されたタイムズカーへの不正アクセスや、2025年10月のアスクルのランサムウェア被害のように、外からの攻撃が目立ちます。実際、東京商工リサーチの調べでは、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故180件のうち、ウイルス感染・不正アクセスが116件と6割を超えました。

ただ、同じ調査で誤表示・誤送信が37件、紛失・誤廃棄が18件あります。約3割は、攻撃ではなく人の手元で起きています。攻撃のニュースの陰で、こちらは毎年ほとんど減っていません。

人の目と耳の穴は、暗号化もファイアウォールも役に立ちません。そのかわり、道具も知識もいらず、習慣だけで塞げます。カフェは「ガラス張りの会議室」だと思って、5つの場面を順に見ていきます。

お急ぎの方は、この記事を約60秒で解説した動画をどうぞ。

1. 画面は、後ろの席から読める(ショルダーハッキング)

肩越しに画面やキーボードを盗み見て情報を得ることを、ショルダーハッキングと呼びます。特別な技術はいりません。後ろや隣の席から、目で見るだけです。

「そんなにじっと見る人はいない」というのは、半分正しいです。たいていの人は自分の作業に集中しています。ただ、見られて困るものは、ちらっと目に入るだけで十分なことが多いです。お客様の社名、見積もりの金額、管理画面のURL。スマホで撮られたら、拡大して読めます。

覗き見や立ち聞きが厄介なのは、された側が気づけないことです。パソコンをなくせば紛失に気づけますが、画面を見られたことには気づけません。気づけないので、事故として公表されることもほとんどありません。公表された事例が少ないのは、起きていないからではなく、数えられていないからです。

  • 壁を背にした席に座る:後ろに人が通らない席を選ぶだけで、見られる方向が一つ減ります。
  • 覗き見防止フィルターを貼る:正面以外からは画面が暗く見えるフィルターです。数千円で買えます。
  • パスワードの入力は、周りを見てから:キーボードの指の動きも、見られれば読めます。パスワード管理ソフトの自動入力にしておけば、打つ場面そのものがなくなります。

2. 「ちょっとトイレ」の30秒で、パソコンは開いたまま

カフェでいちばん多い油断は、パソコンを開いたまま、スマホを置いたまま席を立つことです。荷物を置いておけば席取りになるので、つい置いていきたくなります。

実際に公表された事例を4つ挙げます。どれも攻撃されたわけではなく、持ち歩いていた端末が、手元を離れただけです。

時期何が起きたか入っていた情報
2008年4月大手カフェチェーンの社員が、出張中に駅でノートパソコンを置き引きされた採用選考に応募した学生4,842人分と、社員897人分の氏名など
2022年6月兵庫県尼崎市の業務委託先の関係社員が、飲食後の帰り道でUSBメモリーの入ったかばんをなくした(3日後に発見)全市民46万517人分の住民基本台帳の情報など
2023年3月コンビニのフランチャイズ運営会社の社員が、帰宅途中に立ち寄った施設のロッカーから、ノートパソコンの入ったかばんを盗まれたアルバイト従業員の個人情報
2026年5月高知工科大学の教員が、出張中の電車内でノートパソコンを使ったあと、置き忘れて下車した(公表時点で見つかっていない)メールのやり取りがあった418件の氏名・メールアドレス、メール本文と添付ファイル

いちばん新しい2026年の事例では、大学の発表によると、パソコンにログインのパスワードが設定されておらず、拾った人は誰でも起動できる状態でした。業務の主なデータは外付けのSSDに保存していて、パソコン本体には入っていなかったとしています。「なくしたときに中を見られない状態にしておく」ことの大切さがよく分かる事例です。

場所は電車、駅、帰り道、ロッカー。カフェの席と同じく、「少しのあいだ目を離しても大丈夫だろう」と思える場所です。カフェで席を立つ30秒も、条件は変わりません。

  • 席を立つときは、必ず画面をロック:Macは「control+command+Q」、Windowsは「Windows+L」。ふたを閉じるだけより確実です。
  • パソコンとスマホは持って立つ:席取りは、上着や飲みかけのカップで十分です。
  • 数分で自動ロックにしておく:うっかり忘れたときの保険です。ロック解除にパスワードか指紋を必須にしておきます。
  • 「探す」機能をオンにする:Macの「探す」、Windowsの「デバイスの検索」。なくしたときに、場所の確認や遠隔でのロックができます。

3. 電話の声は、思ったより遠くまで届く

カフェはざわついているので、自分の声は周りに紛れると思いがちです。でも、電話をしている本人は相手の声を聞こうとして、自然と声が大きくなります。隣の席との距離が1メートルもないお店も多く、話している内容は、だいたい隣に聞こえています。

  • 固有名詞と数字を口に出さない:お客様の社名、担当者名、金額、日付。「例の件」「先日の資料」で通じる言い方に変えます。
  • パスワードや認証コードは、絶対に読み上げない:電話口で伝える必要があるなら、席を外して店の外で。
  • 込み入った話は、店を出てからにする:「5分後にかけ直します」と言える関係を作っておくのが、いちばんの対策です。

4. オンライン会議は、画面と声の両方が漏れる

オンライン会議は、電話と画面の両方の穴を同時に開けます。こちらの声に加えて、イヤホンをしていなければ相手の声も周りに聞こえます。画面には、会議の参加者の顔と名前、共有された資料が映っています。

  • イヤホンは必須、話さないときはミュート:相手の声が漏れないこと、店内の音が会議に入らないことの両方に効きます。
  • 画面共有の前に、通知を止める:共有中にチャットやメールの通知が出ると、会議の相手にも、後ろの席の人にも見えます。Macなら「集中モード」をオンにしておきます。
  • 背景をぼかす:自分の後ろに映るほかのお客さんへの配慮でもあります。
  • 機密の話がある会議は、カフェでしない:前回書いたとおり、無料Wi-Fiも大事な操作には向きません。会議の内容で場所を選びます。

5. その他:見落としがちな3つ

  1. 通知のプレビュー
    画面の右上に出るメッセージの通知は、作業中の画面より目立ちます。Macは「システム設定 → 通知 → プレビューを表示」を「ロックされていないとき」か「しない」に。中身を見られずに済みます。
  2. パソコンの名前とAirDrop
    パソコンやスマホの名前が「山田太郎のMacBook」のように本名になっていると、AirDropやBluetoothの一覧で周りの人に名前が見えます。名前は本名を避けたものに変え、AirDropは普段「受信しない」か「連絡先のみ」にしておきます。
  3. 知らない充電器やUSB端子
    お店やほかの人の充電ケーブル、出どころの分からないUSB端子にはつながず、自分の充電器でコンセントから充電します。

HOMELYならどうするか

前回の「電波の穴」は設定で塞ぐものでした。今回の「目と耳の穴」は、習慣で塞ぐものです。どちらも一度決めてしまえば、毎回考える必要はありません。

もし社内にカフェや出先で仕事をするスタッフがいるなら、今回の5つを「外で作業するときのルール」として1枚にまとめておくのがおすすめです。席を立つときのロック、口に出さない言葉、会議をしない場所。決めておけば、新しく入った人にもそのまま渡せます。

HOMELYでは、ホームページの制作・運用とあわせて、管理画面のログインまわりや、外出先から更新するときの手順づくりもお手伝いしています。「うちの場合はどこから決めればいい?」と気になった方は、お気軽にご相談ください。

参考:東京商工リサーチ「2025年 上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査(Web担当者Forum)/高知工科大学「お知らせとお詫び」(2026年6月9日)/ScanNetSecurity(2008年4月25日)/Impress Watch(2022年6月24日)・神戸新聞(2022年6月)/ScanNetSecurity(2023年4月26日)

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